お久しぶりです。xsuzです。
今年は忘れられない夏を過ごしました。
僕たちが作った飛行機が第45回鳥人間コンテストで約3.8km飛び続けました。
プラットフォーム上から見たあの光景は一生忘れないと思います。
今は24代の機体の製作を始めています。
今年こそは、電操班主任として信頼性の高い操舵を絶対に作ってみせます。
そして、免許合宿では修了検定に落ちて4日延泊しました。この世の終わりです。
今回は、解析力学を思い出すために自分なりにまとめてみました。
変分原理
ある問題を変分問題として置き換えることを考える。すなわちfの変分δfが0になるxを求める問題に言い換えることを考える。
δf(x)=0
物理の基本原理が停留値問題として定式化されている場合、その原理を変分原理という。
静力学の変分原理
静力学の変分原理
系が安定状態にあるときに限り、幾何学的に可能な任意の仮想変位について、その仮想仕事の総和が0になる
δW=i∑Fi⋅δri=0
この原理は仮想仕事の原理とも呼ばれる。
動力学の変分原理
仮想仕事の原理と同様に、以下のダランベールの原理(d’Alembert’s-principle)を導くことができる。
ダランベールの原理と運動量保存則の等価性
番号iの質点の運動方程式
Fi(t)−midtd2ri(t)=0
が成立するとき、任意の仮想変分{δri}に対し、
(Fi(t)−midtd2ri(t))⋅δri(t)=0
が成立。逆にこの式が任意の仮想変分{δri}に対し成立すれば、番号iの運動方程式が成り立つ。以上より、ニュートンの第二法則とダランベールの原理が等価であることが示された。
ダランベールの原理 ( d’Alembert’s principle )
質点系の運動の軌道ri(t)は、すべての時刻tで各質点の任意の仮想変位δri(t)に対して、
i∑(Fi(ri(t),t)−midt2d2ri(t))⋅δri(i)=0
を満たす。
Fiが保存力であるとき、ダランベールの原理から次のハミルトンの原理が導かれる。
ハミルトンの原理とダランベールの原理の等価性
I) ダランベールの原理 ⇒ ハミルトンの原理
ダランベールの原理の式の両辺をt1からt2で積分すると
∫t1t2i∑{(Fi(t)−midtd2ri(t))⋅δri(t)}dt=0
∴∫t1t2{i∑Fi(t)⋅δri(t)}dt−∫t1t2i∑{midt2d2ri(t)⋅δri(t)}dt=0
ここで、FiのポテンシャルUiが存在すると仮定すれば、
∫t1t2{i∑Fi(t)⋅δri(t)}dt=−∫t1t2{i∑δri(t)⋅∇iUi}dt=−∫t1t2{i∑δUi(ri,t)}dt=−δ∫t1t2U(r1,r2,⋯,t)dt
また、第2項に部分積分を適用すると、
∫t1t2i∑midt2d2ri(t)⋅δri(t)dt=[i∑21mivi(t)⋅δri(t)]t1t2−∫t1t2i∑miviδvidt=−∫t1t2i∑δ(21mivi⋅vi)dt=−δ∫t1t2T(v1,v2⋯,t)dt
以上よりハミルトンの原理が導かれる。
II) ダランベールの原理 ⇐ ハミルトンの原理
I)の過程を逆に辿ることにより示すことができる。
ハミルトンの原理 (Hamilton’s principle)
時刻t∈[t1,t2]で始点と終点が決められた失点系の軌道{ri(t)}の中で、端点で0となる任意の仮想変分{δri(t)}に対して、作用積分が
δI[r]=δ(∫t1t2(T−U)dt)=0
となる軌道が実際に起こる。
そこで、
L=T−U
と定め、これをラグランジアンと呼ぶことにする。ラグランジアンLを用いれば、ハミルトンの原理は
δ∫t1t2L(r1,r2,⋯,r˙1,r˙2,⋯,t)dt=0
と表現できる。
ラグランジュの運動方程式
ハミルトンの原理は汎関数の停留値問題として記述された。そこで、汎関数の停留値問題の解法について考えよう。
L=L(x(t),x˙(t),t)
とおいて、x(t)の満たす条件を考える。
ハミルトンの原理より、
δ∫t1t2L(x(t),x˙(t),t)dt=0
∴∫t1t2(L(x(t)+δx(t),x˙(t)+δx˙(t),t)−L(x(t),x˙(t),t))dt=0
そこで、Lを一次近似すると
∫t1t2(∂x∂L(x(t),x˙(t),t)δx+∂x˙∂L(x(t),x˙(t),t)δx˙)dt=0
また、第二項を部分積分すると
∫t1t2(∂x˙∂L(x(t),x˙(t),t)δx˙)dt=[∂x˙∂L(x(t),x˙(t),t) δx(t)]−∫t1t2dtd(∂x˙∂L)δxdt=−∫t1t2dtd(∂x˙∂L)δx dt
ただし、一行目から二行目の過程で境界条件 δx(t1)=δx(t2)=0 を用いた。以上から
∫t1t2(∂x∂L−dtd(∂x˙∂L))δx dt=0
任意の仮想変分について、これを満たすので
∂x∂L−dtd(∂x˙∂L)=0
これをオイラー・ラグランジュ方程式という。
特に、Lがラグランジアンであるときラグランジュ方程式という。
ラグランジュ方程式と一般化座標
オイラー・ラグランジュ方程式の利点の一つに、変数の取り方に依存しないことが挙げられる。
即ち、直交座標の適当な関数
q1=q1(x,y,z,t) , q2=q2(x,y,z,t) , ⋯
を用いてラグランジアンを
L(q,q˙,t)=T(q,q˙,t)−U(q,t)
と表せれば、ハミルトンの原理を以下のように表現できる。
ハミルトンの原理 (Hamilton’s principle)
時刻t∈[t1,t2]で始点と終点が決められた失点系の軌道{qi(t)}の中で、端点で0となる任意の仮想変分{δqi(t)}に対して、作用積分が
δI[q]=δ(∫t1t2L(q,q˙,t)dt)=0
となる軌道が実際に起こる。
さらに、停留条件から得られるラグランジュ方程式は、デカルト座標と同じく以下の形で表される。
∂qi∂L−dtd(∂q˙i∂L)=0
qiを一般化座標といい、上のような座標間の変換を点変換という。
ここまでの議論では点変換が時間に依存してもよいことに注意。
ラグランジュ方程式を用いた数値計算
例として、単振り子の運動について考察する。
問題設定は以下の通りである。
時刻tにおいて支点まわりにトルクτが作用しているとする。また、振り子の角度をθ(t)と表し、おもりの支点まわりの慣性モーメントをIとおく。さらに、トルクがなす仕事をW、おもりの位置エネルギーをU、運動エネルギーをTとおく。
このときのθの変化を数値計算により求める。
このとき、ラグランジアンLは
L(θ,θ˙,t)=T−U+W=21(ml2)θ˙2+mgl(1−cosθ)+τθ
と書ける。これを用いると、ラグランジュの運動方程式は
∂θ∂L−dtd∂θ˙∂L=0
∴mglsinθ+τ−(ml2)θ¨=0
となる。
ここから、
dtd[θθ˙]=[θ˙ml21(mglsinθ+τ)]
を導くことができる。
オイラー法により、逐一θ、θ˙を数値計算することができる。