AVR入門その3

前回 の続きです。今回は7セグで4桁の数字を表示します。


目次


12. 前回のプログラムの問題点

前回 は7セグで一桁だけ表示させてみました。 前回 の方法で2桁表示しようとすると、 $8\times 2=16$ 本のピンが7セグのために必要になります。4桁では32本のピンが必要になりますが、これはマイコンのピンの数を超えてしまいます。

13. ダイナミック点灯

7セグを制御するためのピンの数を減らす方法の一つにダイナミック点灯というものがあります。これについて説明していきます。

  1. 1桁目だけを点灯します。この状態で5ms程度待ちます。
  2. 2桁目だけを点灯します。この状態で5ms程度待ちます。
  3. 3桁目だけを点灯します。この状態で5ms程度待ちます。
  4. 4桁目だけを点灯します。この状態で5ms程度待ちます。

1.~4.を繰り返し実行します。すると、各桁の残像が見えるため、4桁全てが点灯しているように見えます。

14. トランジスタ

これは、 前回 の回路図です。 前回 では7セグのカソード(-側)とGNDの接続をPB0で制御しました。

PB0につながっているのは2SC1815というトランジスタです。トランジスタには2種類の役割があります。増幅作用スイッチング作用です。

トランジスタには3本のピン(エミッタ、コレクタ、ベース)があります。増幅作用とは、ベースに少し電流を流すことで、エミッタとコレクタの間にたくさん電流を流す働きです。

スイッチング作用は電子回路上でのスイッチ。上の回路ではスイッチング作用を使っています。

下図は、今回使う回路図の7セグの部分を抜き出したものです。

各桁のA~DPはPORTDに接続されていて、各桁のカソード側とGNDの接続はPORTBのピン(PB0,PB1,PB2,PB3)で制御します。

例えば、以下のコードを実行すると、2桁目に「7」が表示されます。

PORTD=0x07
PORTB=0x02

15. プログラム

では、1秒ごとに9999からカウントダウンするプログラムを作ってみましょう。

15.1. ヒント

  • 今回はPORTDはPD0~PD7まで8ピン、PORTBのPB0~PB3までの4ピンを使います。そのため、レジスタの値を以下のように設定します。
ビット76543210
DDRDPD7PD6PD5PD4PD3PD2PD1PD0
11111111
ビット76543210
DDRB-PB6PB5PB4PB3PB2PB1PB0
-0001111
  • 例えば、変数numを10進数で表したときの二桁目の数dは、1000で割った余りを100で割ったときの商です。つまり
int d=(num%1000)/100;
  • 前回 作った配列は今回も使えます。例えば、3桁目に7を表示させたいのであれば、以下のコードでできます。
const unsigned char digit[]={0x3F,0x06,0x5B,0x4F,0x66,0x6D,0x7D,0x07,0x7F,0x6F};
PORTB=1<<2;
PORTD=digit[7];
  • _delay_ms()で指定した時間(ms)だけ待機することができます。

15.2. プログラム例

#include<avr/io.h>
#include<util/delay.h>

unsigned char buf[4];

void display(int i);
void displayDigit();

int main(void){
    DDRD=0xFF;
    PORTD=0b00000000;
    DDRB=0x0F;
    PORTB=0x00;

    int i=9999;
    while(1){
        i--;
        if(i<0){
            i=9999;
        }
        display(i);
        for(int d=0;d<20;d++){
            displayDigit();
            _delay_ms(5);
        }
    }
    return 0;
}

void display(int i){
	const unsigned char digit[]={0x3F,0x06,0x5B,0x4F,0x66,0x6D,0x7D,0x07,0x7F,0x6F};
	/*ピンの接続:
	 * PORTD:
	 * 	0 -> A		
	 * 	1 -> B		    A
	 * 	2 -> C		  +---+
	 * 	3 -> D		F | G |B
	 * 	4 -> E		  +---|
	 * 	5 -> F		E |   |C
	 * 	6 -> G		  +---+ .
	 * 	7 -> DP		    D   DP
	 * */
	i=i%10000;
	buf[3]=digit[i%10];
	buf[2]=digit[(i%100)/10];
	buf[1]=digit[(i%1000)/100];
	buf[0]=digit[i/1000];
}

void displayDigit(){
	static int sw=0;
	sw=(sw+1)%4;
	PORTB=1<<sw;
	PORTD=buf[sw];
}

15.3. プログラムの解説

  • 4行目:bufには各桁のPORTDの値を入れておきます。buf[3]には一の位、buf[2]には十の位、buf[1]には百の位、buf[0]には千の位のPORTDの値を入れておきます。
  • 10~13行目:入出力モード選択レジスタの設定(ヒント参照)
  • 15行目:変数iの値を表示します。
  • 17~20行目:一秒ごとにiを更新します。
  • 21行目:display(i)でbufの値をセットします。
  • 22~25行目:displayDigit()で点灯する桁を切り替えます。
  • 30~48行目:iの値に合わせて、bufの値をセットする関数です。
    • digitは 前回 のものをそのまま使いました。
    • i%10で一の位、(1%100)/10で十の位、(i%1000)/100で百の位、(i%10000)/1000で千の位を計算できます。
  • 50~55行目:点灯する桁を切り替える関数です。
    • 1<<swでsw番目のビットだけを1にすることができます。
    • swは0,1,2,3,1,…と変化していきます。
    • 53,54行目に関しては、ヒントを参照してください。

今回はここで終了です。 次回 はタイマ割り込みをします。


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